「金髪の草原」を観ました。

犬童一心が「ジョゼと虎と魚たち」の前に撮った作品。自分を20歳だと思っているジジイと、ヘルパーとして派遣されてくる18歳の少女との交流を描いた物語です。サラっと紹介していますが、この映画は物凄い離れ業を展開していて、それは何かと言えば「自分を20歳だと思っているジジイ役を伊勢谷友介にやらせる」という点なのです。
つまり作品全体の主観は伊勢谷にありながら、ヘルパーを演じる池脇千鶴をはじめ脇のキャラの主観には伊勢谷は存在すらせず、あくまでも「一人のジジイ」として接する訳です。で、この80歳のジジイを演じる伊勢谷友介の「芝居ができない・台詞が上手く言えない」という点を逆手にとり、「見た目は青年だけど本当はジジイなので、こんなタドタドしい感じ」と言い張り、奇跡的な好演として成立させてしまっている。
こんなアプローチの映画は今まで見た事がありません(「ハサミ男」が映画化されたそうですが、手法的にはこれに近いモノになるのでは?という気がしました)。さすがに「ジョゼ〜」よりは劣ると思いますが、それなりに佳作だと思うし、この映画の伊勢谷友介を見るだけでも必見と言えるのではないでしょうか。オススメです。
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=161792