「キューティーハニー」を観ました。

友人のウェブデザイナー(ゆうじんのうぇぶでざいなー!)から「上司のデザインセンスに困惑している」といった趣旨のメールを貰いました。かいつまんで説明しますと「『こうしろ』と言われた通りにやると『こうじゃない!』と言われ、自分のデザインセンスを問うような物言いをされる」との事。つまりどうもその上司の「良しとされるデザインセンス」がイマイチ掴めない、と言うことらしいです。
で、ここでちょっと「OL銭道」の話をしたいと思います。ちょうど今、テレ朝では「菊川怜で遊ぼう!」との副題が付いた「霊感バスガイド事件簿」を放送中ですが、それについては菊川怜ヘビーウォッチャーであるid:throwSさんの日記を参照して頂くことにしまして、要は「『OL銭道』はあんだけオモロかったのに何故『霊感バスガイド事件簿』はダメなのか?」という事なんです。私はその答えを「キューティーハニー」に見たような気がしたのです。
おそらく「霊感バスガイド事件簿」のダメさの根源は、演者と演出する人間の「コミュニケーション不全」及び「菊川怜というの素材についての認識不足」だと思われます。「OL銭道」における菊川女史の特筆すべき点は、人が落とした小銭の「チャリ〜ン」という音のみで金額を言い当てる「小銭の絶対音感国広富之よろしく、耳をピクピク動かしてみせる!)」だとか、嬉しい時にはジャンプせんばかりのハッチャケっぷりだとか、いまだ恋心を抱く昔の恋人に対して憤る時には腕を組み鼻をピクピクさせ「…フンっ!何よぉ!!」といった具合の、フィジカルな演技の素晴らしさにあったと思います。それに比べて「霊感バスガイド事件簿」はどうかと言うと、「霊を感じた時にエクトプラズムを吐き出す(その時のキメ台詞は「…感じちゃった…」)」といった「小銭の絶対音感」をも越える飛び道具を有しながらの、あの体たらく。もうこれは完全に制作サイドの怠慢か、菊川怜のフィジカルな芝居に対する認識不足としか思えません。
前置きが長くなりましたが「キューティーハニー」です。庵野秀明はこの映画の実写化に際して、上記のような問題点を気持ち良い程にクリアしています。演者の資質を見事に引き出し、それがちゃんと映えるように切り取っているのです。
特に市川実日子市川実日子!!佐藤江梨子及川光博小日向しえもちろん素晴らしいのですが、市川実日子の「揃った前髪に黒ブチ眼鏡」というキャラの立ちっぷりに、私は言いようのない高揚感を憶えました。エレクトしました。ここまでベタな役を、ここまで嫌味がなくサラリと演じる事ができる女優さんが他にいるでしょうか?去年の「すいか」辺りから「只者ではないかも」臭を感じとっていた自分にとって、彼女の「キューティーハニー」での芝居は「ユリイカァーーー!」と劇場で叫びたくなる程の腑に落ちっぷりでした。


というわけで、秋夏子のスピンオフを是非、是非とも、切に切に、熱望したいです。